ローレンス・コールバーグ
かなりこのブログの更新をサボっていました。
気持ちがさめないうちに更新。
ローレンス・コールバーグ(Wikipedia記事)
Wikipedia執筆を始めた頃に新規作成したページの1つ。
道徳性発達理論や、モラルジレンマで有名な人物、コールバーグ。
しかし、当時(2008年10月)は彼のページがなかったので、大学時代に読んだ文献をもとに執筆を開始。道徳性発達理論を中心としたページが完成しました。
ところが、執筆を進めるうちに、ある意味もっとも肝心な彼自身のことがわからないという課題にぶち当たることに。直接会ったことがないのはもちろん、本などでも専攻や出身地・出身大学くらいしか分かりませんでした。
これについては、チャールズ・パーシー・スノー同様、英語版を参照して執筆(もちろん、参考にした旨は記録に残しています)。同時に、鬱に悩まされて自殺するという壮絶な晩年も知ることとなりました。
ところで、これは独自研究の恐れがあるので今のところ書いていませんが、彼の日本での知名度は意外と高くないように思われます。
ホームページで検索しても、モラルジレンマ実践の話が最も多く、ついで道徳性発達理論の提唱者として紹介がある程度。モラルジレンマ実践についてはいくつか課題が指摘されているようですが、それ以前に心理学理論の分野以外でほとんど目を向けられていない節があるのではないかと勘ぐりたくなります。
そのように思う根拠はいくつかあります。
まず、私見では彼の道徳性発達理論は、(一定の認知度・影響力がある、という前提ですが)人間の道徳的な価値観の優劣を測る客観性の高いものさしとして機能しうるとにらんでいます。彼の理論をもとに知能指数検査のような質問紙が作成されるようになれば、(いろいろ問題点は出ると思われますが)学校現場で生徒の道徳的な価値観の程度を把握する強力な物差しとなるはずです。今のところ、生徒の道徳的な価値観は「測定不可能なもの」として捕らえられているからです。しかし現状では、そうしたものさしを活用しようとする動きは今のところまったくといっていいほど見られません。
そして、コールバーグ関係でもっとも認知度が高いモラルジレンマにしても、道徳教育実践としてのモラルジレンマは「ある状況について判断に窮する2つの選択肢から何を選ぶか」というところに終始する感が強く、学習者の道徳的な価値観がどう変化したかを分析しようという視点が弱いのではないかと考えられます。要するに「やって満足」というところが強く、生徒の様子は実践者の直接的な観察にほぼゆだねられてしまっている状態だと考えられるのです。
彼の理論が応用されるとどうなるのか(世の中がよくなるのか、悪くなるのか)は今のところ未知数です。が、どちらにせよ彼の理論そのものの認知度はもっと高くなってしかるべきだと考えます。世の中がよくなるとすればもっと活用されてしかるべきだし、悪くなるとしても彼の理論を越えるものを作れば結果的には世の中に還元されます。しかし今は認知度が妙に低くて毒にも薬にもなっていない状態です。
コールバーグの記事が、その認知度向上に少しでも貢献されればと思います。